最も愛され、最も嫌われる花。
あなたが白い菊の花から連想するものはなんでしょう?
お墓参り?それともお葬式でしょうか?
日本において、白菊はどうしても仏事のイメージが強いため、お祝いの場に飾られることはありません。
なおかつ宗教色が希薄になりつつある現代においては、お葬式に飾るお花であっても白菊を嫌がられる方はたくさんいらっしゃいます。
とは言え、毎年秋になれば菊花展や菊まつりが日本中で開催されますし、皇室の紋章でもある菊は、桜と同じくらい日本人にとって馴染み深いお花でもあります。
日本では年間に40億本もの切り花が生産されていますが、なんとそのうち12億本(2023年の時点)が菊のお花です。これはバラとカーネーションの生産量を合わせても、その3倍以上の量となります。
お葬式やお墓参りの簡略化によって年々生産量は減少しているものの、菊が日本を代表するお花だということを示す数字ですね。
生花祭壇と菊。
日本初の生花祭壇は、吉田茂元総理大臣の国葬だったと言われています。切り花の生産量がまだまだ少ない時代であったため、首都圏一帯から白菊をかき集めることによってとても大きな影響を市場に与えたそうです。
では生花祭壇や仏事に菊が使われるのはなぜでしょうか?
「菊には魔除けの力がある」など、Web上ではさまざまな見解が溢れていますが、農業や流通が今ほど近代化されていなかった頃、1年を通じていつでも手に入って、何日も長持ちする花が当時は菊くらいしかなかったというのがどうやら本当のところのようです。
実際、菊のお花が仏事用として盛んに使用されるようになったのは戦後からのことでした。
欧米ではウェディングブーケなどにも白菊が使われますし、菊は決して私たち日本人がイメージするような不吉なお花ではないのです。
フローリストにとっての菊とは。
生花祭壇に菊が使われるのには、フローリストにとって扱いやすい花だからという理由もあります。
茎は太くしっかりしていて、葉の付きも良く、花は真っ直ぐに上を向いて咲きます。
特に、複雑なデザインの生花祭壇と菊の相性は抜群です。
線や面を表現するのに菊の花は欠かせないと言えるでしょう。
生花祭壇にも流行があるのですが、菊のお花がお葬式の主役であり続けるのには、そんなフローリスト側の事情も隠されています。
そんな、とても長持ちで種類豊富な菊のお花は、お正月飾りにも相性ぴったりです。
お花屋さんなどで見かけたらぜひあなたのお宅にも飾ってみてください。
それでは良いお年を。